2008年11月13日木曜日

■太陽が笑ってるから

 窓から漏れてくる光で目が覚めた。今日は雲が切れている。東からのびてくる陽光に、私はひどくほっとする。そういえば久しぶりなんだ、朝に光と出会うのは。
 今日は三鷹の病院へお見舞いに、そしてその足で国立の会場まで行き約束の人と会う予定だ。私にとってはちょっと慌しい。
 三鷹に入院している彼女と出会ったのは何年前だったろう。もう十年近くになる。彼女が私の体験記を読んで、以来、足繁く通ってくれたのがきっかけだった。正直に言おう。私は最初彼女が苦手だった。何故そこまで慕ってくれるのか、全然理由が分からなかったからだ。その頃の私はまるではりねずみのように、警戒心の塊だったから。
 しかし。彼女を写真に撮ってみて分かった。彼女の中に大きな大きなまだ癒えない傷があり、その傷が私の体験と共鳴しているのだ、と。それが分かってから、急に私と彼女との距離は縮まった。そして今日に至る。いまや、私にとって彼女は、なくてはならない友になっている。
 もう一人は、今日初めてお会いする方。毎年写真展に足を運んでくださっている貴重な方だ。
 今日が晴れた日でよかった。微かに残っていた憂鬱さも、朝の風と光に溶けてなくなった。これで心置きなく二人に会える。
 起きてきた娘が言う。「ママ、顔が笑ってる」「そう?」「なんか面白いことあった?」「面白いことはないけど。太陽が笑ってるから」「そうなんだ」「そうなんだよ」「へへへ」「へへへ」。
 さぁ出掛ける準備。と、その前に娘のおにぎりだ。炊きたてのご飯にちりめんじゃこを混ぜてきゅっと握ろう。

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