2008年11月25日火曜日

■祖母の思い出(三)

 祖母の葬式には、何百人という人があちこちからやって来た。私たちの知らない人も数多くいた。私と同じくらいの年の子も何人かいた。祖母の友達とは思えない、でも、じゃぁ誰なのだろう。私はあまりに不思議に思って、どういうつながりですか、と恐る恐る尋ねてみた。すると、三人の男子学生は、恥ずかしそうに、こう言った。「KYさんの俳句のファンで、それと、おはぎのファンで…」。そのときの私の気持ちを一体どんな言葉で言い表したらいいのだろう。あぁ、と思った。あぁおばあちゃん、と思った。

 今、娘を育てる立場になって、私は、何度かおはぎにトライしたことがある。でも、とてもじゃないが、おばあちゃんの作ってくれたおはぎは、作れない。そして、お店から買ってくるおはぎも、これもまた、私にとってのおはぎじゃない。もう、私のおばあちゃんのおはぎは、この世には、ない。
 ねぇ、おばあちゃん。おばあちゃんは確かに、短い人生だったかもしれないけど、でも、でもね、たくさんの人がおばあちゃんを覚えていてくれたんだよ。おばあちゃんは世間的に言えば一般人の代表みたいな人だったけど、でもね、おばあちゃん、おばあちゃんの生き様をちゃんと見ていた人たちがこんなにもいたんだよ。そしておばあちゃんにしかできないことが、こんなにもいっぱいあったんだよ。ねぇ、聞いてる?
 別に大義を成し遂げる必要なんてない。一つ一つ大切にして生きていればそれは必ず結果を残すのだということを、祖母は私に黙って教えてくれた。
 おばあちゃん。今どうしてる? 私は、私は今ここに在るよ。足掻いて足掻いて、倒れて怪我したりしながらも、それでも何とか生きてるよ。ねえ、これで、いいんだよね?

0 件のコメント: